第二十四条(民法第二百五十五条 の適用除外)

第二十四条(民法第二百五十五条 の適用除外)

【第二十四条】
第二十二条第一項本文の場合には、民法第二百五十五条 (同法第二百六十四条 において準用する場合を含む。)の規定は、敷地利用権には適用しない。
 

解 説

区分所有法第24条は敷地利用権が共有となっている場合には、民法の規定が一部適用されないことを定めています。
 
まず、敷地利用権が共有になっているケースとは、規約で共有ではないことを定めていない場合、つまりは通常のケースです。この場合、敷地利用権は専有部分と切り離して処分することができなくて、専有部分と敷地利用権は常にセットで移転します。
何故、法律でセットにしているのか、と言えば、マンションに関係者が増えれば増えるほどややこしくなることからなるべく関係者を減らせるものなら減らそうとしている一方で、敷地利用権だけを持つメリットがあまりなく、セットにしてしまってもあまり問題がないからです。
 
さて、民法では第255条で、共有者の一人がその持分を放棄した場合、あるいは死亡して相続人がいない場合には、その持分が他の共有者に帰属する、と定めています。そしてこの規定が区分所有法でマンションには適用されないことになっています。
仮に適用されるとどうなるでしょうか。マンションの所有者が死亡して相続人がいない場合、敷地利用権は共有なので他のマンションの住人に帰属することになる一方で、専有部分は共有ではないため、国に寄付された状態になります。結果、敷地利用権と専有部の所有権が分離してしまうことになります。
 
この事態が、区分所有法第24条によって解決されます。具体的には、民法第255条が適用されない結果、共有状態にある敷地利用権が他の共有者に帰属することなく、専有部の処理と運命を伴にします。具体的には一緒に国庫に入ることになります。
 

 

POINT

区分所有建物の敷地利用権は、所有権の共有または借地権の準共有です。
民法二百五十五条は、共有者の一人がその持分を放棄したとき、または相続人なしに死亡したときは、その持分は他の共有者に帰属すると規定しています。
 
ごの規定は、民法二百六十四条によって、所有権以外の財産権(例えば賃借権など)にも準用されているのです。
この規定が適用されると、区分所有者が相続人なく死亡したときは、敷地利用権は、他の区分所有者のものになります。
 
一方で、専有部分の権利、つまり区分所有権は単独で所有する所有権ですから、死亡した区分所有者に相続人がない場合には、家庭裁判所の審判によって、死亡した区分所有者の療養看護に努めた者などの特別縁故者に与えられることがありますが、そうでないときは国庫に帰属します(民法九百五十八条の三、九百五十九条)。
そうなると、この場合、敷地利用権と専有部分とが分離して処介されたのと同じ結果になってしまうのです。
 
そこで、区分所有法は、分離処分の禁止が適用される場合には、区分所有者が相続人なく死亡したときは、民法二百五十五条は適用しないことにして、敷地利用権も、専有部分と一緒に、特別縁故者または国庫に帰属することにしたのです。
 

 

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