第五十五条(解散)

第一章 建物の区分所有
第五十五条(解散)

【第五十五条】
管理組合法人は、次の事由によつて解散する。

一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
二 建物に専有部分がなくなつたこと。
三 集会の決議

2 前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。

【五十五条の二】(清算中の管理組合法人の能力)
解散した管理組合法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

【第五十五条の三】(清算人)
管理組合法人が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は集会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。

【第五十五条の四】(裁判所による清算人の選任)
前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。

【第五十五条の五】(清算人の解任)
重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。

【第五十五条の六】(清算人の職務及び権限)
清算人の職務は、次のとおりとする。

一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し

2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

【第五十五条の七】(債権の申出の催告等)
清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。

3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4 第一項の公告は、官報に掲載してする。

【第五十五条の八】(期間経過後の債権の申出)
前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、管理組合法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

【第五十五条の九】(清算中の管理組合法人についての破産手続の開始)
清算中に管理組合法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。

2 清算人は、清算中の管理組合法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。

3 前項に規定する場合において、清算中の管理組合法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
 

解 説

管理組合法人は他の法人、例えば会社などと同様に、解散する方法が定められています。その法人と取引する人もいるので、勝手になくなってもらっては困るからです。
 
まず、解散する理由が法律に3つ定められています。
建物全部が地震で崩れたなどしてなくなった場合、建物内部の壁を全て取り払うなどして専有部分がなくなった場合、集会で決議した場合(3/4以上の多数が賛成していることが必要です)、の3つです。
 
解散、というのは法人が消滅することと同じではありません。むしろ、これから失くしていくことを決めた、に留まります。そのため、解散後も法人は存続し、清算が終わったところで初めて、消滅することになります。
 
解散した後はこの清算、という手続きに移行します。清算とは、法人がなくなっても法人と取引していた人が困らないよう、誰と取引していたのかを確認し、その人たちに払うべきものを払うなどして取引を終わらせ、そしてあまった財産を区分所有者に返すことを言います。
仮に返す財産があるどころか、清算してみたら全部の負債を支払えなかった、という場合には、破産手続きに移行することになります。
 
以上の清算の業務は清算人という人が行います。清算人は理事が基本的はなりますが、規約や集会で定めることもできます。決まらなければ裁判所が選んでくれます。
清算人が誠実に仕事をすることによって、最後にお金が返ってくることになりますので、誰でもいい、というわけにはいかないのです。
 

 

POINT

管理組合法人は次の事由が発生したときに解散します。
 
①建物の全部の滅失
②建物の専有部分がなくなったとき
③集会における解散の決議(特別決議)の成立
 
建物の全部が滅失した場合には、管理の対象が存在しなくなるのですから、その存在意義を失って解散します。
 
火事や地震などの天災で滅失した場合に限らず、建替え決議が成立して建物を取り壊した場合にも管理組合法人は解散します。
 
そして、建替え後に新たな管理組合が発生し、法人化するのであれば所定の手続を経て新しい管理組合法人を設立することになるのです。
 
建物の専有部分がなくなる、とは、一人の者が専有部分の全部を取得し、登記簿上建物を一棟の建物にした場合などが考えられます。
 
この場合には、区分建物でなくなってしまうのですから、管理組合法人が存在する意義もなくなります。
 
また、集会の決議によって解散した場合には、区分所有建物自体は存在しているので、管理組合法人は、法人でない管理組合として存続することになります。
 

 

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