第五十八条(使用禁止の請求)

第一章 建物の区分所有
第五十八条(使用禁止の請求)

【第五十八条】
前条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条第一項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。

2 前項の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。

3 第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。

4 前条第三項の規定は、第一項の訴えの提起に準用する。
 

解 説

全体に迷惑を掛ける行為を停止するように請求できる、ことが区分所有法の第57条に定められていて、それに基づいて請求し、迷惑な行為が止まれば万々歳です(そもそも話し合って止まればなおいいのですが)。
ただ、それでも止まらない、あるいは止まるとは思えない、ということもあります。この場合には、その区分所有者に専有部分を使わせない(使用禁止)、という解決方法が法律によって用意されています。なお、更に影響の大きな対抗策として、専有部分を競売してしまう、という方法もあります。これは事項で説明させていただきます。
 
単に迷惑な行為をやめて欲しいと請求するよりも、専有部分を使ってはいけない、という方がより影響の大きな対策になりますので、使用禁止を裁判所に認めてもらうためにはいくつか条件をクリアしている必要があります。
 
まず、単に迷惑であるだけではなく、区分所有者の共同生活上の障害が著しい、ことが必要です。
次に、迷惑行為をやめるよう請求するだけでは解決しない、という理由が必要です。
更に、使用禁止は訴訟で求めることになります。迷惑行為をやめて欲しい、という請求の訴訟も集会の決議によることとなっていますが、こちらは過半数の決議でオッケーです。これが使用禁止の場合には3/4に要件が引き上げられます。
最後に、使用を禁止される区分所有者が弁明する機会を設けなくてはなりません。
 
この使用禁止の期間は「相当な期間」です。一般にはそれだけ間を置けば迷惑行為を再開しないだろうと思われる期間になります。具体的に、いつまで待てば迷惑行為の可能性がなくなる、ということが見積もれる場合にはその期間になります。
 

 

POINT

この請求は、マンションから一時的に義務違反者を追い出してしまうものです。
 
使用禁止請求が認められたときは、義務違反者の家族などの同局人も、その専有部分を使用できなくなりますが、専有部分を他人に貸借することは認められます。
 

 

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