第五十四条(特定承継人の責任)

第一章 建物の区分所有
第五十四条(特定承継人の責任)

【第五十四条】
区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、その区分所有者が前条の規定により負う責任と同一の責任を負う。
 

解 説

特定承継人については何度かご説明させていただきましたが、包括承継人に対応する言葉で、売買により譲り受けた人などを言います。
区分所有者としての責任は基本的に特定承継人にも及びます。これは区分所有法第29条2項に規定されています。
 
区分所有法の第54条では、管理組合法人が負担した債務について、管理組合法人に資力がなく、支払いができない場合には区分所有者が持分に応じて責任を負担するとした第53条の規定が特定承継人にも及ぶことを定めています。29条の内容から考えれば当然の話のように聞こえるのではないかと思います。
 
何故わざわざ区分所有法第54条がこの規定をおいているか、の答えは、区分所有法第47条11項にあります。この47条は、管理組合法人についての基本的な決まりを定めています。
 
そして、管理組合「法人」は管理組合とはあちこちが異なるため、区分所有法の全てが適用されるわけではなく、どの条文が(読み替えたりして)適用され、どの条文が適用されないか、を定めています。
47条11項は、この内、適用しない条文について定めており、この中に第4節が含まれています。第4節は25条から29条ですので、29条は管理組合法人には適用されません。
 
具体的に29条が管理組合法人に適用されない理由は、一義的に第三者に対して債務を負担するのが管理組合法人になるからです(管理組合、では組合自体が債務負担することができなかったためです)
結果、29条に含まれるようなこと、も管理組合法人に適用される事柄として改めて定めないといけないわけです。これが、54条の規定になります。
 

 

POINT

専有部分が譲渡された場合には、区分所有者が替わります。
 
譲渡人は区分所有者ではなくなり、譲受人(特定承継人)が新しく区分所有者になるのです。
 
特定承継人は、承継前に生じた管理組合法人の債務についても、譲渡人(元区分所有者)と同じ責任を負うことになります。
 

 

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