第六十四条(建替えに関する合意)

第六十四条(建替えに関する合意)

【第六十四条】
建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなす。
 

解 説

建替えの決議をして、その後、棄権・反対した区分所有者から参加する意思を確認して、またはその持分を買い取りますが、その結果、全員が賛成している状態で建替えは進んでいくことになります。この状態で、後から、やっぱり建替えに反対だ、と言い出す人がいないとは限りません。また、このような状態でも区分所有権を売却することができるのですが、その買い取った人が建替えに反対だ、とか、自分の持分を時価で買い取って欲しいとか言い出す可能性もないとは限りません。
 
集会での決議は、区分所有法第46条で、特定承継人に対しても(包括承継人に対しては当然に)その効力が生じる、と規定されています。
しかし、決議後の参加表明等、決議に基づかない行為が、特定承継人を当然に拘束するのかどうか、を法律上はっきりさせておく必要があります。
区分所有法第64条は、この「はっきりさせる」という目的から置かれている条文で、建替えについて、関係者が合意した、とみなされることが定められています。
 
ここで関係者とは、建替え決議に賛成した区分所有者、賛成しなかったものの建替えには参加すると回答した区分所有者、反対して参加もしない区分所有者から区分所有権等を買い受けた者、及びその承継人です。
この関係者は建替えに合意したとみなされた結果、全員で建替えの契約をしたのと同じ状態になります。従って、誰かが反対、と言い出せば契約違反になりますし、全員で合意すれば契約の内容を変更すること(建替え後の建物の高さを変える等)もできることになっています。
 

 

POINT

建替え決議が成立し、建替えに参加しない者が、区分所有権と敷地利用権を買取指定者に売渡してしまえば、残るのは建替えに参加する者だけです。
 
この建替え参加者は、それぞれに建物を建て替えることに事実上は合意していますが、それだけでは集団としての建替え意思が形成されたとはいえません。
 
建替え事業は建替え参加者の集団によって行われるのですから、建替えに対する明確な、集団としての意思が必要なのです。
 
本条は建替えに含意する旨の、建替え参加者の集団としての意思が成立したと擬制(みなす)するための規定なのです。
 

 

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