第十九条(共用部分の負担及び利益収取)

第一章 建物の区分所有
第十九条(共用部分の負担及び利益収取)

【第十九条】
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
 

解 説

共有部分の負担、及び共有部分から発生する利益は、持分に応じて分配されるのが原則です。
 
共有部分の負担とは、共有部分の掃除代、照明等の電気代、管理員等の人件費、エレベーター等の保守料、などなど、共有部分に関して発生する一切の負担を意味しています。共用部分から直接生じた費用以外にも、理事会の会議費等、区分所有者全員に効果が及び、特定の人が費用負担するのがなじまないもの、も負担に含めるのが一般的です。
 
これに対して利益の方ですが、駐車場や駐輪場の利用料が主たるもので、敷地内に自動販売機を置いた場合に受け取る手数料だとかが含まれます。
通常は、負担の方が利益より大きくなります。そして、利益は負担と相殺されて(つまり、利益の分だけ負担が減る)ことで調整されます。
分配される、とはこのような意味であって、各区分所有者に利益が現金で渡されるいう意味ではありません。これは、万が一、利益が負担を上回った場合であっても、その上回った中の自分の持分相当を要求することはできません。この点が民法の共有との違いとして挙げられます。
前後しますが、持分は、規約で特に定めていない場合には、専有部分の床面積によって定まることは以前ご説明させていただいたとおりです。
 
そして、以上の内容については規約に別のルールを定めることができ、その場合には規約のルールが優先されます。共用ドアを取り替える場合には、当該ドアを使用した頻度(何度開け閉めしたのか)に応じて費用を徴収することも、規約で定めればやれないことはありません。
 

 

POINT

共用部分の負担とは、一般に管理費や共益費として徴収されている、共用部分を維持・管理するために必要な費用です。
 
廊下などの灯火や外灯の電気料全やエレベーターの保守点検費用、共用部分の損害保険料、管理人の人件費などをいいます。
 
共用部分から生ずる利益とは、共用部分である屋上の一部に広告塔を設置して、これを賃貸した場合の賃料などが挙げられます。
 

 

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