第四十条(議決権行使者の指定)

第一章 建物の区分所有
第四十条(議決権行使者の指定)

【第四十条】
専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。
 

解 説

区分所有法において、区分所有建物全体にかかる大事なことは集会で決めることになっています。そして、集会においては、各区分所有者毎に賛否を表明し、区分所有者の一定割合、議決権の一定割合が賛成した場合に、物事が決まることになっています。
 
この説明、マンションのある部屋を、誰が持っているのかはっきりしているのであれば分かりやすいです。例えば、401号室はAさんが暮らしていて、Aさんが持っている、307号室はBさんが暮らしてBさんが持っている。Aさん、Bさんがそれぞれ議決権を行使する場合には、何ら問題がありません。
しかし、実際には、少なくない専有部分が共有になっています。典型的なのは、夫婦でお金を出し合って購入したマンションだから夫婦の共有名義になっているもの、あるいは一人暮らしをしていた親が亡くなり、複数の子供達が相続した場合、などです。
 
ある専有部には、議決権が1つ、割り当てられていたとします。
この部屋を夫婦で共有している場合、夫婦が集会に出席し、ある事柄について、夫は賛成、妻は反対の意思表示をしたとすると、どちらの意見が優先されるべきなのか、あるいは、それぞれ0.5票として計算するのか、という問題が発生します。
 
そのため、区分所有法の第40条では、専有部を共有している場合には、共有者のうち、誰が議決権を行使するのか、その誰か、を一人、決めておくこととされています。
一人、というのがポイントで、先の例のように、夫婦それぞれ0.5票ずつ持つようなことは出来なくなっています。
 

 

POINT

専有部分が数人の共有の場合には、共有者は、任意の一人を定めて議決権を行使します。
 
尚、共有者のうち、通知する任意の一人を選ぶ際には、共有持分が多いか少ないかを考慮する必要はありません。
 

 

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